概要地球環境問題を背景として,一層の省エネルギー化が強く求められている現在,あらためて自然のエネルギーを有効に利用した居住環境づくりが注目されています。
空調・照明技術の発展により,機械力ヘの依存を前提とした建物が計画されることが多くなっています。
しかし,今後一層の省エネルギー化を図るためには,空調・照明技術などの省エネルギー化を更に図っていくのは勿論のことですが,また一方,「自然エネルギーの利用技術」を発展させ,両者をうまく組み合わせ,心地よい自然の恩恵を最大限内部に取り込むような建物を造っていくことが,重要であると考えます。
ここでは,こうした方法の一つとして,夜間の冷たい外気を建物内に積極的に取り込み,床・壁・柱など建物の大きな熱容量を利用して冷熱を蓄え,建物の蓄熱量を下げ,その結果,翌日の冷房負荷を削減する方法と,その効果についていくつかの事例を紹介します。
オフィスビルでの計算例
図−1 アトリウムを利用した夜間換気
Air flow of the night ventilation in a building with an atrium
近年のオフィスビルでは,照明設備やOA化の進展による内部発熱量が増大し,冷房負荷が大きくなるとともに冷房の必要となる時間が長くなる傾向にあります。
したがって,昼間内部にこもった熱をうまく排出することが大きな課題となっています。
東京に建つアトリウムを有する10階建てのオフィスビルを計算対象としました。(図−1)。
アトリウムの上下に大きな自然換気用の開口部(各9m2)を設け,4月から10月の夜間(22時〜7時)にこれを開放し,自然換気を行うことの効果を検討しました。
オフィス空間のうち1/2は,アトリウムと隔てなくつながっているものとしました。
実測例と今後の展開