自然の微小な揺れを利用して
概要
交通,風,波浪などで地盤がわずかに揺れるため,構造物は常に微小振動しています。これを常時微動と言います。この常時微動を測定することにより構造物の振動特性(固有振動数,振動モード,減衰定数)を推定できます。
通常1〜5時間の波形記録からアンサンブル平均により伝達関数を求め,これから固有振動数,振動モード,減衰定数を求めます。
特徴
- 加振装置が不要で,使用中の建物にも適用可能です。
- 特に,高層ビルや煙突など周期が長く減衰の小さい構造物に適しています。
- 長時間の測定データを用いた統計的な解析により高い推定精度が得られます。地震と同様の下部からの振動を測定するメリットもあります。
- 微小振動を測定するため,強風時を避け通常は夜間に実施します。
- 推定精度向上のため,風の影響の検討など,常時微動を適切に用いるための研究成果が活用されています[1]。
適用例
本例は,建物上部がブリッジで連結された2つの超高層ビル(Photo 1, S造51階建,SRC造38階建)を対象としたものです。この建物は微小振動で複雑な揺れ方をすることが予想されましたので,2つの建物の主要階の水平成分(X,Y方向)を中心に48点の計測点を設け,同時に5時間の連続測定を行いました。データ解析の結果,建物の地下階計測点に対する各点の伝達関数は,X,Y方向で同じようなピーク特性が得られました(Fig.1)。
これらの伝達関数には近接したピークが見られ,近接したピーク振動数では類似の振動モードを示すものの,振動方向が異なっていることがわかりました(Fig.2,Fig.3)。この例のように,多点同時で長時間の常時微動測定を行い,これらに適切なデータ解析を施すことにより,基本振動モードから高次振動モードに至るまで複雑な振動特性を詳細に推定することができます。
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