大空間空調シミュレーション
スポーツ施設,文化施設など大空間を有する建物や,オフィス・商業施設・ホテルなどでアトリウムが採用される事例が増えています。特に,開放感が重視されるためガラス屋根やガラス外壁が多用されるアトリウムでは,四季を通じて差し込む日射の放射熱や,冬期にガラス壁面に沿って降りてくる冷気流(コールドドラフト)などの影響が大きく、居住環境,快適性を損なうことが懸念されています。
当社が独自に開発した「大空間空調シミュレーション手法」は,大空間の上下温度分布や窓面からのほてり,冷えこみ,コールドドラフトなどの熱環境を予測するとともに,年間にわたる空調負荷を同時に算定します。また,自然換気などの省エネルギー手法の効果の検討も可能です。
これにより,建築デザイン・設備・熱環境を総合的に判断し,省エネルギーで快適な空間づくりが可能になりました。ここでは,アトリウムとエントランスホールを例にとって,その特徴をみてみましょう。
夏のアトリウム
アトリウムでは,明るさ・開放感が重視されるため,ガラス面が大きくなり,そこから入射する日射が室内の環境や冷房エネルギーに大きな影響を及ぼすことになります(図−1)。トップライト部分は,夏季50℃以上になることもあり,人の居住する床面近傍とは大きな温度差を生じます。こうした特徴を正しく予測することにより,居住域を効率的に冷房するための合理的な空調設計が可能となるのです。その効果は建物毎に異なりますが,全体を冷房する場合に比べ,20%〜50%の省エネルギー化が期待できます。また,空気温だけでなく,図−3に示すより,ほてり感を含めた環境(体感温度)評価が大切です。
アトリウム冷房検討(鹿島技術研究所展示・実験棟)
図−1 日射の影響予測
写真−1 盛夏・冷房時
図−2 温度変動・冷房負荷
図−3 熱放射を考慮した体感温度分布(夏季,晴天)
冬のエントランスホ−ル
大きなガラス外壁をもつホールの例で,暖房検討の特徴をみてみましょう。3層吹抜空間の天井から温風が吹き降ろされています。温風はその浮力のため,床面まで届かず,上部の温度だけがどんどん上がりますが,肝心の1階部分は,数時間たっても暖まりません。
このように,どんな熱環境になるか定量的に明らかになるので,空調吹出方法・位置やガラスの構成の変更,床暖房の併用など最適な計画案の立案が可能です。
暖房立上り時の上下温度分布予測(冬季,曇天)
適用例
アトリウム
(新宿パークタワー,目黒雅叙園,
KI
ビルなど),
膜屋根施設
(秋田スカイドーム他各種ドーム),
大空間
(東京海上大阪,日立シビックセンター・音楽ホール,長野オリンピック・スピードスケート会場など)
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