[2004/7/23]


クリーンルームを模擬した実験施設
「ミニチュア・クリーン・チャンバー」を構築

次世代クリーンルームのケミカル汚染対策に威力を発揮


開発の背景ミニチュア・クリーン・チャンバーの概要

ミニチュア・クリーン・チャンバーの特長今後の展開


 鹿島(社長;梅田貞夫)は、半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)などの先端産業施設のクリーンルームにおいて、近年、問題となっている化学物質汚染(ケミカル汚染)対策を、迅速、かつ高精度に実施することを目的として、実際のクリーンルームを模擬した空間で、建材などから発生する極微量の化学成分の測定が可能な「ミニチュア・クリーン・チャンバー」を、技術研究所(東京都調布市)内に構築しました。
 本施設は、化学物質の発生量が極めて少ない材料を用いたクリーンルームの縮小モデルとなっており、実際にクリーンルームに使用する床・天井・壁などの建材や、フィルタ、ケーブルなどの設備材料を交換して化学物質の測定実験が行える施設です。本施設により、計画段階から実際のクリーンルームに近い環境で材料から発生する化学成分を正確に評価することが可能となりました。また、材料を任意に交換することにより、計画段階に室内濃度への影響を評価しながら、材料比較も行うことができるようになりました。

ミニチュア・クリーン・チャンバー外観

ミニチュア・クリーン・チャンバー外観

開発の背景


 近年、半導体やフラットパネルディスプレイなど、電子デバイス製品の高性能化がますます進んでおり、製造施設であるクリーンルーム内の化学物質がその製造プロセスに影響を及ぼすことが問題となっています。
 電子デバイス工場で問題となる化学物質は、有機物や無機イオンなど多種で、またその発生要因は、建物や設備の材料からの発生、外気による持ち込み、人間や製造プロセスからの発生など多岐にわたります。
 当社はこのクリーンルームのケミカル汚染対策として、これまで化学物質の発生の少ない建材や工法の選定、化学物質を除去するシステムの開発に取り組んできましたが、材料単体の発生量から計算した室内濃度の予測値と、竣工後のクリーンルームの室内濃度の実測値に相違がある場合がありました。これは、クリーンルーム内の室内濃度が極めて低いことや、実際のクリーンルームには人間や製造装置、外気などの汚染要因が多岐にわたり、また、温湿度や気流条件、複数の建材の間で発生する化学物質の吸脱着など、変動要因があるからと考えられます。
 そこで当社は、実際のクリーンルームに近い環境で複数の建材(床、壁、天井)や設備材料を模擬的に設置して空気質を測定できる「ミニチュア・クリーン・チャンバー」を構築しました。このミニチュア・クリーン・チャンバーは、技術研究所ですでに稼動中の超清浄実験施設「空気質ラボ(*)」内に設置しており、外部からの汚染要因を極力排除して室内濃度を高精度に予測することが可能です。
 本施設により、建材や設備材料から発生する複合的な化学物質の発生量を実際のクリーンルーム内に近い環境で評価することが可能となりました。また、材料を任意に交換することで、計画段階における室内濃度の比較検討が容易に行えるようになりました。

(*)空気質ラボ
 空気質ラボは、2000年に技術研究所内に完成した施設で、ラボ内の化学物質量を極限まで抑制した最高水準の空気清浄度を誇る実験施設です。(2000年11月プレス発表済み)室内の化学物質の影響を排除することで、測定限界に近い微量な化学物質を正確に測定・評価することが可能な実験施設です。これまで半導体工場や美術館などの化学汚染対策などに活用されています。

ミニチュア・クリーン・チャンバーの概要


 このミニチュア・クリーン・チャンバーは実際のクリーンルームを模擬し、HEPAフィルタ、壁紙、フリーアクセスフロア、シール材、設備材料など、実際のクリーンルームに使用する建材を設置して、チャンバー内の化学物質濃度を測定することで、竣工後のクリーンルームにおいて、建材などからのアウトガスが室内濃度に与える影響を高精度に予想することが可能となりました。また、ミニチュア・クリーン・チャンバーは建材を簡単に交換することが可能となっており、複数の建材の比較実験を行うことができます。

ミニチュア・クリーン・チャンバー模式図
ミニチュア・クリーン・チャンバー模式図

ミニチュア・クリーン・チャンバーの特長

  1. 実際のクリーンルームを模擬した空間で評価できる

  2. 循環ファンを設置し実際のクリーンルームを模擬した空間で濃度測定を行うことが可能です。計画段階で、材料からの発生濃度を把握でき、完成後のリスク低減に役立ちます。

  3. 複数の建材の影響を評価できる

  4. 従来の材料のアウトガス評価には、材料単体を1つずつ測定していましたが、本施設に床・壁・天井などの材料を複合的に組み合わせ設置することで、材料の相互作用を加味したアウトガス評価が可能です。

  5. 材料の交換が容易に行える

  6. 床、壁、フリーアクセスパネル、フィルタなどの構成材料は任意に交換が可能であるため、代替材料、工法採用のための比較実験が迅速に行えます。

  7. 製品に対する影響評価が行える

  8. 本施設では、チャンバー内にシリコンウェハやガラス基板などを設置し、実際のクリーンルームと同等の環境下での付着実験が可能で、顧客製品に対する影響を踏まえた評価を行うことができます。

基板付着測定

ミニチュア・クリーン・チャンバー内での基板付着測定

 

小型チャンバーでの建材アウトガス測定

小型チャンバーでの建材アウトガス測定

今後の展開



 当社では、すでに本施設を利用して、各種材料を組み合わせた評価実験を行い、その結果を実際の建設計画に展開しています。今後は更に、材料や工法の選定および開発、化学物質の除去システム開発などへ活用していくとともに、各種デバイス施設の空気質の総合的な制御技術の提案を積極的に行っていく方針です。



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