
鹿島(社長:梅田貞夫)は、社会工学的見地に立ちこれまでに地震に対する安全性・居住性を確保する制震・免震ビルを数多く提供してきましたが、当社と(株)小堀鐸二研究所(東京都港区赤坂、社長:小堀鐸二)が共同開発した制震システム「ハニカムダンパ」を既存ビルの耐震改修工事に適用し、現在葛飾区総合庁舎本館(東京都葛飾区立石5−13−1)で庁舎を使用しながら制震補強工事を実施しています。
本システムによる既存ビルの制震補強は、1997年1月に完成した「大正製薬本社ビル制震補強工事」が初めての適用で、この構法が従来の耐震補強に比べ補強構面が大幅に低減できることから、この工事を契機に様々な企業・自治体からの問合せが相次ぎ、これまでに新宿京王百貨店や福島県営山下町団地の補強工事等に適用されています。
庁舎建築への制震補強は一部で適用されていますが、耐震改修法に基づく計画認定を取得しての本格的な適用はこれが日本で初めてとなリます。今後両社では、日本に220万棟存在するといわれている「既存不適格ビル」の耐震補強市場に、免震・制震構法の2つのメニューを取り揃え、積極的に企業や各自治体・医療機関等に提案していく方針です。
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| 葛飾区総合本庁舎本館の制震補強工事完成予想図 |
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葛飾区総合庁舎本館は、平面的に「コの字」型をしており、エキスパンションジョイントで四つのブロックに分割されています。また、中庭を塞ぐように新館が建てられており、庁舎全体の配置は「ロの字」型の平面形状になっています。
このため、従来の耐震補強工法(柱を鉄板で巻いたり耐震壁を増設する工法)では、建物内部に耐震壁を数多く配置する必要となり、庁舎の機能を保持することが困難となり、また、工事では中庭に建設機械が入れないため中庭側の施工が極めて困難となり、従来工法以外の工法採用が検討されていました。
これらの問題を一挙に解決したのが「制震補強構法」で、あらかじめエキスパンジョイントを剛結して「コの字」型平面を一体化し、その上で本構法を採用することにより、建物の外側四隅のみの補強で現在の耐震基準を満たすことが可能になりました。
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本工事に採用した本構法は、既存の柱・梁の間に「ハニカムダンパ」と呼ばれる六角形の蜂の巣状の開口を持つ制震装置を設置して耐力を向上し、かつ大地震時にこのダンパが変形することで地震エネルギーを吸収することにより、建物に加わる地震力を低減させる補強構法です。
同じ安全性を確保する場合、従来の耐震補強に比べて補強構面の数が約2分の1に低減され、既存不適格建築物といわれる建物も震度7の大地震がきても過大な被害を受けないですむ建物に生まれ変わります。
今回の工事では、庁舎内で執務をされる方に対して極力影響を与えないという条件の下、建物外部からの補強を「居ながら」にして施工しています。
具体的な工事内容は、1階の一部と2階〜4階の外周窓側四隅に逆V字型のブレース(筋交い)を設置し、制震装置「ハニカムダンパ」を介してブレース頭部と躯体梁とを一体化させます。本建物は4階建で、1階は既に鋼板巻による補強が施されていたため、主な補強は2〜4階となり、地震力の影響が少ない最上階(4階)は2階、3階より少ない補強構面量になっています。
本工事の概要は、次の通りです。
| 工事名称 | 葛飾区総合庁舎本館等耐震補強工事 |
| 建築場所 | 東京都葛飾区立石5-13-1 |
| 規模 | 地上4階、塔屋1階 |
| 建築面積 | 約3,135m2(本館) |
| 延床面積 | 約9,153m2(本館) |
| 高さ | 17.55m |
| 構造 | 鉄筋コンクリート(RC)純ラーメン構造 |
| 竣工 | 1962年 |
| 改修履歴 | 1階ピロティー部柱鋼板巻補強(1981年) |
| 改修設計 | (株)小堀鐸二研究所 |
| 改修施工 | 鹿島 東京支店 |
| 葛飾区総合本庁舎本館の制震補強工事の現況 |
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鹿島では、耐震補強・免震補強・制震補強と3つの居ながら補強工法のメニューを取り揃えておりますが、既存建物の立地条件や地盤条件、施主のニーズに応じて耐震補強メニューから最適の構法を選択し、提案していく方針です。
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